私はこれまで、天体写真の補正用画像は、現場で天体写真の撮影の最後にダーク画像を1枚撮影するのみで済ませていた。理由は単純で、現場で天体写真をできるだけたくさん撮影するため、補正画像を撮る時間を惜しんでいたため。しかし、冷却カメラを使うようになり、カメラの温度が制御できるため、現場でダーク画像を撮影する必要がなくなったので自宅で十分な枚数のダーク画像を用意することにした。また、この機会にフラット画像も用意することにした。
フラット画像の作り方はいろいろあるようだが、室内で作れるようにフラット照明を用意することにした。手持ちの鏡筒全てに使うためにはΦ300mm程度の照明が必要になるが、市販品は結構高そうなので自作することにした。
筐体は段ボールで作ってもよかったが、CADの練習を兼ねて3Dプリンタで作ることにした。Φ300mmサイズは大きすぎて作れないので、筐体は4分割の組み立て式。
LEDはテープ式のLEDライトを購入。USB供給で調光スイッチ付き。
LEDを貼り付けたところ
乳白色のアクリル板で拡散させる。念のため白いメリヤスウエスと刺繡枠で拡散版を作ったが、アクリル板だけで十分均一な照明になっていた。
早速、ダーク、フラット、フラットダーク、バイアスの画像データを、各イメージセンサ、鏡筒用に用意した。これまでステライメージのコンポジットパネルでコンポジット処理をしていたが、これを機にPixInsightのWeighted Batch Preprocessingへ移行する。
補正画像を使って処理した結果。周辺まできれいな画像が得られた。
BORG55FLとASI294MCproで撮影した馬頭星雲~オリオン大星雲で試したが、コンポジット直後の画像でも、すでにかなりフラットで、後処理は非常に楽だった。補正画像を用意して補正をまじめにやると、後処理は簡単な画像処理で自然な結果が得られるのだろう。PixInsght等ソフトウエアでの画像処理のレベルがどんどん上がっているが、やはり元になる画像の質を上げるのは重要だと実感した。
おしまい。